令和02年施設基準(通知) / 〇基本診療料の施設基準等 / 別添3 入院基本料等加算の施設基準等

第21 感染防止対策加算

1 感染防止対策加算1の施設基準

(1) 感染防止に係る部門(以下「感染防止対策部門」という。)を設置していること。この場
合において、第 20 の1の(1)のイに規定する医療安全対策加算に係る医療安全管理部門をもって感染防止対策部門としても差し支えない。

(2) (1)に掲げる部門内に以下の構成員からなる感染制御チームを組織し、感染防止に係る日
常業務を行うこと。

ア 感染症対策に3年以上の経験を有する専任の常勤医師(歯科医療を担当する保険医療機
関にあっては、当該経験を有する専任の常勤歯科医師)

イ 5年以上感染管理に従事した経験を有し、感染管理に係る適切な研修を修了した専任の
看護師

ウ 3年以上の病院勤務経験を持つ感染防止対策にかかわる専任の薬剤師

エ 3年以上の病院勤務経験を持つ専任の臨床検査技師
アに定める医師又はイに定める看護師のうち1名は専従であること。なお、感染制御チームの専従の職員については、抗菌薬適正使用支援チームの業務を行う場合には、感染制御チームの業務について専従とみなすことができる。当該保険医療機関内に上記のアからエまでに定める者のうち1名が院内感染管理者として配置されていること。なお、当該職員は区分番号「A234」に掲げる医療安全対策加算に規定する医療安全管理者とは兼任できないが、第2部通則7に規定する院内感染防止対策に掲げる業務は行うことができる。また、アに掲げる常勤医師については、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(感染症対策に3年以上の経験を有する医師に限る。)を2名組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該2名の非常勤医師が感染制御チームの業務に従事する場合に限り、当該基準を満たしていることとみなすことができる。

(3) (2)のイにおける感染管理に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。

ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること。(600 時間以上の研修期間で、修了
証が交付されるもの)

イ 感染管理のための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であるこ
と。

ウ 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。

(イ) 感染予防・管理システム

(ロ) 医療関連感染サーベイランス

(ハ) 感染防止技術

(ニ) 職業感染管理

(ホ) 感染管理指導

(ヘ) 感染管理相談

(ト) 洗浄・消毒・滅菌とファシリティマネジメント等について

(4) 感染防止対策の業務指針及び院内感染管理者又は感染制御チームの具体的な業務内容が整
備されていること。

(5) (2)に掲げるチームにより、最新のエビデンスに基づき、自施設の実情に合わせた標準予
防策、感染経路別予防策、職業感染予防策、疾患別感染対策、洗浄・消毒・滅菌、抗菌薬適正使用等の内容を盛り込んだ手順書(マニュアル)を作成し、各部署に配布していること。なお、手順書は定期的に新しい知見を取り入れ改訂すること。

(6) (2)に掲げるチームにより、職員を対象として、少なくとも年2回程度、定期的に院内感
染対策に関する研修を行っていること。なお当該研修は別添2の第1の3の(5)に規定する安全管理の体制確保のための職員研修とは別に行うこと。

(7) (2)に掲げるチームにより、感染防止対策加算2に係る届出を行った医療機関と合同で、
少なくとも年4回程度、定期的に院内感染対策に関するカンファレンスを行い、その内容を記録していること。

(8) (7)に規定するカンファレンスは、(2)のアからエ及び2の(3)のアからエの構成員
それぞれ1名以上が直接対面し、実施することが原則であるが、以下のアからウを満たす場合は、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下「ビデオ通話」という。)が可能な機器を用いて参加することができる。

ア ビデオ通話によりカンファレンスを行う場合は、主として当該カンファレンスにおいて
取り上げる内容に関わる感染制御チームの構成員は、対面で参加していること。

イ (2)に掲げるチームと2の(3)に掲げる感染制御チームは、4回中1回以上一堂に
会し直接対面するカンファレンスを行っていること。なお、感染制御チームを構成する各職種は、それぞれ1名以上当該カンファレンスに参加していればよいこと。

ウ 感染制御チームを構成する各職種が4回中2回以上直接対面するカンファレンスに参加
していること。

(9) 当該保険医療機関又は感染防止対策加算2に係る届出を行った医療機関が「別添3」の
「別紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が 400 床以上の病院、DPC 対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の場合は、以下のア及びイを満たすときに限り、ビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ア ビデオ通話によりカンファレンスを行う場合は、主として当該カンファレンスにおいて
取り上げる内容に関わる感染制御チームの構成員は、対面で参加していること。

イ 感染制御チームを構成する各職種が4回中1回以上直接対面するカンファレンスに参加
していること。

(10) ビデオ通話を用いる場合において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する
際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(11) (2)に掲げるチームにより、感染防止対策加算2を算定する医療機関から、必要時に院内
感染対策に関する相談等を受けていること。

(12) 院内の抗菌薬の適正使用を監視するための体制を有すること。特に、特定抗菌薬(広域ス
ペクトラムを有する抗菌薬、抗MRSA薬等)については、届出制又は許可制の体制をとること。

(13) (2)に掲げるチームにより、1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の
把握を行うとともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行うこと。

(14) 当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策に関する取組事項を掲示している
こと。

(15) 公益財団法人日本医療機能評価機構等、第三者機関による評価を受けていることが望まし
い。

(16) 院内感染対策サーベイランス(JANIS)等、地域や全国のサーベイランスに参加して
いること。

2 感染防止対策加算2の施設基準

(1) 当該保険医療機関の一般病床の数が300 床以下を標準とする。

(2) 感染防止対策部門を設置していること。ただし、第 20 の1の(1)イに規定する医療安全
対策加算に係る医療安全管理部門をもって感染防止対策部門としても差し支えない。

(3) (2)に掲げる部門内に以下の構成員からなる感染制御チームを組織し、感染防止に係る日
常業務を行うこと。

ア 感染症対策に3年以上の経験を有する専任の常勤医師(歯科医療を担当する保険医療機
関にあっては、当該経験を有する専任の常勤歯科医師)

イ 5年以上感染管理に従事した経験を有する専任の看護師

ウ 3年以上の病院勤務経験を持つ感染防止対策にかかわる専任の薬剤師

エ 3年以上の病院勤務経験を持つ専任の臨床検査技師
当該保険医療機関内に上記のアからエまでに定める者のうち1名が院内感染管理者として配置されていること。なお、当該職員は第 20 の1の(1)アに規定する医療安全対策加算に係る医療安全管理者とは兼任できないが、第2部通則7に規定する院内感染防止対策に掲げる業務は行うことができる。

(4) 感染防止対策の業務指針及び院内感染管理者若しくは感染制御チームの具体的な業務内容
が整備されていること。

(5) (3)に掲げるチームにより、最新のエビデンスに基づき、自施設の実情に合わせた標準予
防策、感染経路別予防策、職業感染予防策、疾患別感染対策、洗浄・消毒・滅菌、抗菌薬適正使用等の内容を盛り込んだ手順書(マニュアル)を作成し、各部署に配布していること。なお、手順書は定期的に新しい知見を取り入れ改訂すること。

(6) (3)に掲げるチームにより、職員を対象として、少なくとも年2回程度、定期的に院内感
染対策に関する研修を行っていること。なお当該研修は別添2の第1の3の(5)に規定する安全管理の体制確保のための職員研修とは別に行うこと。

(7) (3)に掲げるチームは、少なくとも年4回程度、感染防止対策加算1に係る届出を行った
医療機関が定期的に主催する院内感染対策に関するカンファレンスに参加していること。なお、感染防止対策加算1に係る届出を行った複数の医療機関と連携する場合は、全ての連携している医療機関が開催するカンファレンスに、それぞれ少なくとも年1回程度参加し、合わせて年4回以上参加していること。

(8) (7)に規定するカンファレンスは、(3)のアからエ及び1の(2)のアからエの構成員
それぞれ1名以上が直接対面し、実施することが原則であるが、以下のアからウを満たす場合は、ビデオ通話を用いて参加することができる。なお、患者の個人情報の取扱いについては、1の(10)の例による。

ア ビデオ通話によりカンファレンスを行う場合は、主として当該カンファレンスにおいて
取り上げる内容に関わる感染制御チームの構成員は、対面で参加していること。

イ (3)に掲げるチームと1の(2)に掲げる感染制御チームは、4回中1回以上一堂に
会し直接対面するカンファレンスを行っていること。なお、感染制御チームを構成する各職種は、それぞれ1名以上当該カンファレンスに参加していればよいこと。

ウ 感染制御チームを構成する各職種が4回中2回以上直接対面するカンファレンスに参加
していること。

(9) 当該保険医療機関又は感染防止加算1に係る届出を行った医療機関が、「別添3」の「別
紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が 400 床以上の病院、DPC 対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の場合は、以下のア及びイを満たすときに限り、ビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ア ビデオ通話によりカンファレンスを行う場合は、主として当該カンファレンスにおいて
取り上げる内容に関わる感染制御チームの構成員は、対面で参加していること。

イ 感染制御チームを構成する各職種が4回中1回以上直接対面するカンファレンスに参加
していること。

(10) 院内の抗菌薬の適正使用を監視するための体制を有すること。特に、特定抗菌薬(広域ス
ペクトラムを有する抗菌薬、抗MRSA薬等)については、届出制又は許可制の体制をとること。

(11) (3)に掲げるチームにより、1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の
把握を行うとともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行うこと。

(12) 当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策に関する取組事項を掲示している
こと。

(13) 公益財団法人日本医療機能評価機構等、第三者機関による評価を受けていることが望まし
い。

(14) 地域や全国のサーベイランスに参加していることが望ましい。

3 感染防止対策地域連携加算の施設基準

(1) 感染防止対策加算1に係る届出を行っていること。

(2) 他の感染防止対策加算1に係る届出を行っている保険医療機関と連携し、少なくとも年1
回程度、当該加算に関して連携しているいずれかの保険医療機関に相互に赴いて別添6の別紙 24 又はこれに準じた様式に基づく感染防止対策に関する評価を行い、当該保険医療機関にその内容を報告すること。また、少なくとも年1回程度、当該加算に関して連携しているいずれかの保険医療機関より評価を受けていること。なお、医療安全対策地域連携加算1又は2を算定している保険医療機関については、当該加算に係る評価と感染防止対策地域連携加算に係る評価とを併せて実施しても差し支えない。

4 抗菌薬適正使用支援加算の施設基準

(1) 感染防止対策加算1に係る届出を行っていること。

(2) 以下の構成員からなる抗菌薬適正使用支援チームを組織し、抗菌薬の適正使用の支援に係
る業務を行うこと。

ア 感染症の診療について3年以上の経験を有する専任の常勤医師(歯科医療を担当する保
険医療機関にあっては、当該経験を有する専任の常勤歯科医師)

イ 5年以上感染管理に従事した経験を有し、感染管理に係る適切な研修を修了した専任の
看護師

ウ 3年以上の病院勤務経験を持つ感染症診療にかかわる専任の薬剤師

エ 3年以上の病院勤務経験を持つ微生物検査にかかわる専任の臨床検査技師
アからエのうちいずれか1人は専従であること。なお、抗菌薬適正使用支援チームの専従の職員については、感染制御チームの専従者と異なることが望ましい。また、抗菌薬適正使用支援チームの専従の職員については、感染制御チームの業務を行う場合には、抗菌薬適正使用支援チームの業務について専従とみなすことができる。また、アに掲げる常勤医師については、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(感染症の診療について33年以上の経験を有する医師に限る。)を2名組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該2名の非常勤医師が感染制御チームの業務に従事する場合に限り、当該基準を満たしていることとみなすことができる。

(3) (2)のイにおける感染管理に係る適切な研修とは、1の(3)に掲げる研修である。

(4) 抗菌薬適正使用支援チームは以下の業務を行うこと。

ア 抗MRSA薬及び抗緑膿菌作用のある抗菌薬を含めた広域抗菌薬等の特定の抗菌薬を使
用する患者、菌血症等の特定の感染症兆候のある患者、免疫不全状態等の特定の患者集団など感染症早期からのモニタリングを実施する患者を施設の状況に応じて設定する。

イ 感染症治療の早期モニタリングにおいて、アで設定した対象患者を把握後、適切な微生
物検査・血液検査・画像検査等の実施状況、初期選択抗菌薬の選択・用法・用量の適切性、必要に応じた治療薬物モニタリングの実施、微生物検査等の治療方針への活用状況などを経時的に評価し、必要に応じて主治医にフィードバックを行い、その旨を診療録等に記載する。

ウ 適切な検体採取と培養検査の提出(血液培養の複数セット採取など)や、施設内のアン
チバイオグラムの作成など、微生物検査・臨床検査が適正に利用可能な体制を整備する。

エ 抗菌薬使用状況や血液培養複数セット提出率などのプロセス指標及び耐性菌発生率や抗
菌薬使用量などのアウトカム指標を定期的に評価する。

オ 当該保険医療機関の外来における過去1年間の急性気道感染症及び急性下痢症の患者数
並びに当該患者に対する経口抗菌薬の処方状況を把握する。

カ 抗菌薬の適正な使用を目的とした院内研修を少なくとも年2回実施する。なお、当該院
内研修については、感染防止対策加算に係る院内感染対策に関する研修と併せて実施しても差し支えない。また、院内の抗菌薬使用に関するマニュアルを作成する。当該院内研修及びマニュアルには、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、外来における抗菌薬適正使用に係る内容も含めること。なお、令和2年3月 31 日時点で抗菌薬適正使用支援加算の届出を行っている保険医療機関にあっては、令和2年9月30 日までの間に限り、当該基準を満たしているものとみなす。

キ 当該保険医療機関内で使用可能な抗菌薬の種類、用量等について定期的に見直し、必要
性の低い抗菌薬について医療機関内での使用中止を提案する。

ク 1の(12)に規定する院内の抗菌薬の適正使用を監視するための体制に係る業務につい
ては、施設の実態に応じて、感染制御チームではなく、抗菌薬適正使用支援チームが実施しても差し支えない。

(5) 抗菌薬適正使用支援チームが、抗菌薬適正使用支援加算を算定していない医療機関から、
抗菌薬適正使用の推進に関する相談等を受ける体制を整備していること。また、抗菌薬適正使用の推進に関する相談等を受ける体制があることについて、1の(7)に規定する定期的なカンファレンスの場を通じて、他の医療機関に周知すること。

5 届出に関する事項

(1) 感染防止対策加算1及び2の施設基準に係る届出は、別添7の様式 35 の2を用いること。

(2) 感染防止対策地域連携加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式 35 の3を用いること。

(3) 抗菌薬適正使用支援加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式 35 の5を用いること。
また、抗菌薬適正使用支援に係る実績等について、別添7の様式 35 の6により毎年7月に地方厚生(支)局長に報告すること。(4)(1)から(3)までに係る当該加算の届出についてはいずれも実績を要しない。