令和06年施設基準(通知) / 〇特掲診療料の施設基準等 / 別添1 特掲診療料の施設基準等

第104 看護職員処遇改善評価料

1 看護職員処遇改善評価料の施設基準

(1) 以下のいずれかに該当すること。

ア 次の(イ)及び(ロ)のいずれにも該当すること。

(イ) 「A205」救急医療管理加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。

(ロ) 救急用の自動車(消防法(昭和23 年法律第 186 号)及び消防法施行令(昭和36 年政令
第 37 号)に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車並びに道路交通法(昭和 35 年法律第105号)及び道路交通法施行令(昭和 35 年政令第 270 号)に規定する緊急自動車(傷病者の緊急搬送に用いるものに限る。)をいう。)又は救急医療用ヘリコプター(救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成 19 年法律第 103号)第2条に規定する救急医療用ヘリコプターをいう。)による搬送件数(以下「救急搬送実績」という。)が、年間で 200件以上であること。

イ 「救急医療対策事業実施要綱」(昭和52 年7月6日医発第 692 号)に定める第3「救命
救急センター」、第4「高度救命救急センター」又は第5「小児救命救急センター」を設置している保険医療機関であること。

(2) 救急搬送実績については、以下の取扱いとする。

ア 救急搬送実績は、賃金の改善を実施する期間を含む年度(以下「賃金改善実施年度」と
いう。)の前々年度1年間における実績とすること。

イ アにかかわらず、新規届出を行う保険医療機関については、新規届出を行った年度に限
り、賃金改善実施年度の前年度1年間における実績とすること。

ウ 現に看護職員処遇改善評価料を算定している保険医療機関については、賃金改善実施年
度の前々年度1年間の救急搬送実績が(1)のアの(ロ)の基準を満たさない場合であっても、賃金改善実施年度の前年度のうち連続する6か月間における救急搬送実績が 100 件以上である場合は、同(ロ)の基準を満たすものとみなすこと。ただし、本文の規定を適用した年度の翌年度においては、本文の規定は、適用しないこと。

(3) 当該評価料を算定する場合は、当該保険医療機関に勤務する看護職員等(保健師、助産師、
看護師及び准看護師(非常勤職員を含む。)をいう。以下同じ。)に対して、当該評価料の算定額に相当する賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。)を含む。以下同じ。)の改善を実施しなければならないこと。この場合において、賃金の改善措置の対象者については、当該保険医療機関に勤務する看護職員等に加え、当該保険医療機関の実情に応じて、当該保険医療機関に勤務する看護補助者、理学療法士、作業療法士その他別表1に定めるコメディカルである職員(非常勤職員を含む。)も加えることができること。

(4) (3)について、賃金の改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定
した上で行うとともに、特定した賃金項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならないこと。また、賃金の改善は、当該保険医療機関における「当該評価料による賃金の改善措置が実施されなかった場合の賃金総額」と、「当該評価料による賃金の改善措置が実施された場合の賃金総額」との差分により判断すること。

(5) (3)について、安定的な賃金改善を確保する観点から、当該評価料による賃金改善の合
計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」という。)の引上げ(以下「ベア等」という。)により改善を図ること。ただし、令和6年度及び令和7年度に、翌年度以降のベア等の改善のために繰り越しを行った場合においては、当該評価料の算定額から当該繰り越しを行った額を控除した額のうち3分の2以上をベア等により改善を図ることで足りるものとする。

(6) (5)について、原則として、賃金改善実施期間内に賃金の改善措置を行う必要があるこ
と。ただし、届出時点の計画を上回る収入が生じた場合又は看護職員が減った場合であって、当該計画に基づく収入の3分の2以上を賃金の改善措置を行っている場合に限り、当該差分については、翌年度の12 月までに賃金の改善措置を行えばよいものとする。

(7) 当該評価料を算定する場合は、当該保険医療機関における看護職員等の数(保健師、助産
師、看護師及び准看護師の常勤換算の数をいう。以下同じ。)及び延べ入院患者数(入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く。)を算定している患者の延べ人数をいう。以下同じ。)を用いて次の式により算出した数【A】に基づき、別表2に従い該当する区分を届け出ること。常勤の職員の常勤換算数は1とする。常勤でない職員の常勤換算数は、「当該常勤でない職員の所定労働時間」を「当該保険医療機関において定めている常勤職員の所定労働時間」で除して得た数(当該常勤でない職員の常勤換算数が1を超える場合は、1)とする。看護職員等の賃上げ必要額(当該保険医療機関の看護職員等の数× 12,000 円× 1.165)【A】=当該保険医療機関の延べ入院患者数× 10 円

(8) (7)について、算出を行う月、その際に用いる「看護職員等の数」及び「延べ入院患者
数」の対象となる期間、算出した【A】に基づき届け出た区分に従って算定を開始する月は別表3のとおりとする。「看護職員等の数」は、別表3の対象となる3か月の期間の各月1日時点における看護職員等の数の平均の数値を用いること。「延べ入院患者数」は別表3の対象となる3か月の期間の1月あたりの延べ入院患者数の平均の数値を用いること。また、別表3のとおり、毎年3、6、9、12 月に上記の算定式により新たに算出を行い、区分に変更がある場合は算出を行った月内に地方厚生(支)局長に届出を行った上で、翌月(毎年4、7、10、1月)から変更後の区分に基づく点数を算定すること。新規届出時(区分変更により新たな区分を届け出る場合を除く。以下この項において同じ。)は、直近の別表3の「算出を行う月」における対象となる期間の数値を用いること。ただし、前回届け出た時点と比較して、別表3の対象となる3か月の「看護職員等の数」、「延べ入院患者数」及び【A】のいずれの変化も1割以内である場合においては、区分の変更を行わないものとすること。

(9) 当該保険医療機関は、当該評価料の趣旨を踏まえ、労働基準法等を遵守すること。

(10) 当該保険医療機関は、(3)の賃金の改善措置の対象者に対して、賃金改善を実施する方法
等について、2の届出に当たり作成する「賃金改善計画書」の内容を用いて周知するとともに、就業規則等の内容についても周知すること。また、当該対象者から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。

2 届出に関する事項

(1) 看護職員処遇改善評価料の施設基準に係る届出及び1の(7)及び(8)に基づき、新規届
出時及び毎年3、6、9、12 月において算出した該当する区分に係る届出は、別添2の様式 93を用いること。

(2) 1の(7)に基づき算出した看護職員処遇改善評価料の見込額、賃金改善の見込額、賃金
改善実施期間、賃金改善を行う賃金項目及び方法等について記載した「賃金改善計画書」を、別添2の様式93 の2により新規届出時及び毎年4月に作成し、新規届出時及び毎年6月において、地方厚生(支)局長に届け出ること。

(3) 毎年8月において、前年度における賃金改善の取組状況を評価するため、「賃金改善実
績報告書」を別添2の様式93の3により作成し、地方厚生(支)局長に報告すること。

(4) 事業の継続を図るため、職員の賃金水準(看護職員処遇改善評価料、外来・在宅ベースア
ップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)並びに入院ベースアップ評価料による賃金改善分を除く。)を引き下げた上で、賃金改善を行う場合には、当該保険医療機関の収支状況、賃金水準の引下げの内容等について記載した「特別事情届出書」を、別添2の様式94 により作成し、届け出ること。なお、年度を超えて看護職員等の賃金を引き下げることとなった場合は、次年度に(2)の「賃金改善計画書」を提出する際に、「特別事情届出書」を再度届け出る必要があること。

(5) 保険医療機関は、看護職員処遇改善評価料の算定に係る書類(「賃金改善計画書」等の記
載内容の根拠となる資料等)を、当該評価料を算定する年度の終了後3年間保管すること。