問1 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」の改正により、「訪
問看護ステーションは、他の事業者又はその従業員に対して、利用者を紹
介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業及び後期高
齢者医療制度の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供す
ることにより、利用者が自己の訪問看護ステーションにおいて指定訪問看
護を受けるように誘引してはならない。」とされたが、趣旨如何。
(答) 訪問看護ステーションが、他の事業者又はその従業員に対して、利用者を
紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業及び後期高
齢者医療制度の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供する
ことにより、利用者が自己の訪問看護ステーションにおいて指定訪問看護
を受けるように誘引することは、
・ 特定の訪問看護ステーションへの利用者誘導につながる蓋然性が高
く、利用者が訪問看護ステーションを自由に選択できる環境を損な
うおそれがあること
・ 利用者を経済上の取引の対象としており、訪問看護ステーションによ
る過剰な指定訪問看護の実施につながり、指定訪問看護そのものや
保険財源の効果的・効率的な活用に対する国民の信頼を損なうおそ
れがあること
等の問題がある。
訪問看護ステーションは利用者が、本人の意思に基づいて自由に選択で
きるものである必要があり、また、健康保険事業の健全な運営を確保する必
要があること等から、今般の改正において、訪問看護ステーションが、他の
事業者又はその従業者に対して、利用者を紹介する対価として、紹介料等の
経済上の利益を提供することにより、患者が自己の訪問看護ステーション
において指定訪問看護を受けるように誘引することを禁止したものである。
問2 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」の改正により、紹
介業者等への利用者を紹介する対価として紹介料を支払うことが禁止さ
れたが、禁止行為に該当するかどうかについて、どのような基準で判断さ
れるのか。
(答) 今般の改正により、基本的には、
① 訪問看護ステーションが、他の事業者又はその従業員に対して、経済
上の利益の提供を行うこと
② ①を利用者紹介の対価として行い、利用者が自己の訪問看護ステー
ションにおいて指定訪問看護を受けるように誘引すること
のいずれにも該当する場合は、禁止行為に該当すると判断される。
①については、利用者紹介の対価として、経済上の利益が提供されている
か否かで判断されるものである。
利用者紹介とは、訪問看護ステーションと利用者を引き合わせることで
あり、訪問看護ステーションに利用者の情報を伝え、利用者への接触の機会
を与えること、利用者に訪問看護ステーションの情報を伝え、利用者の申出
に応じて、訪問看護ステーションと利用者を引き合わせること等も含まれ
る。利用者紹介の対象には、集合住宅・施設の入居者だけでなく、戸建住宅
の居住者もなり得るものである。
経済上の利益とは、金銭、物品、便益、労務、饗応等を指すものであり、
商品又は労務を通常の価格よりも安く購入できる利益も含まれる。経済上
の利益の提供を受ける者としては、利用者紹介を行う仲介業者又はその従
業者、利用者が入居する高齢者住まい等の集合住宅・施設の事業者又はその
従業者等が考えられる。
禁止行為に該当すると判断されることを避ける意図をもって、外形的に
は、経済上の利益の提供を利用者紹介の対価として明示しないことも予想
される。例えば、指定訪問看護の広報業務、指定訪問看護の際の車の運転業
務等の委託料に上乗せされている場合等も考えられ、契約書上の名目に関
わらず、実質的に、利用者紹介の対価として、経済上の利益が提供されてい
ると判断される場合は、①に該当するものとして取り扱うものである。
このため、訪問看護ステーションが支払っている委託料・貸借料について、
利用者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域におけ
る通常の委託料・貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根
拠があること等が示される必要がある。
また、利用者紹介を受けており、訪問看護ステーションが支払っている委
託料・貸借料について、訪問看護療養費の一定割合と設定されている場合は、
実質的に、利用者紹介の対価として支払われているものと考えられる。同様
に委託料・貸借料について、利用者数に応じて設定されている場合は、業務
委託・貸借の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠が
あること等が示される必要がある。
②については、①により、利用者が自己の訪問看護ステーションにおいて
指定訪問看護を受けるように誘引しているか否かで判断されるが、訪問看
護ステーションが、①により対価を支払い利用者の紹介を受けて、当該利用
者の指定訪問看護を行っている場合は、基本的には、②に該当するものと考
えられる。
一方、訪問看護ステーションを併設する高齢者向け住まい等が、紹介業者
等に経済上の利益を提供し利用者の紹介を受けていたとしても、利用者が
訪問看護ステーションを自由に選択でき、実際に、例えば併設の訪問看護ス
テーションではない他の訪問看護ステーションを利用する利用者が複数い
る場合には、高齢者向け住まい等に併設する訪問看護ステーションで指定
訪問看護を受けるように誘引していたとはいえない場合もある。このよう
な場合には、金品を提供した事実だけでなく、利用者の誘引につながる恐れ
があるか否かについて、高齢者住まい等や訪問看護ステーションによる説
明書や同意書の内容、当該訪問看護ステーションと他の訪問看護ステーシ
ョンを利用する利用者の人数等を総合的に勘案する必要がある。
問3 高齢者向け住まい等の集合住宅の入居要件として、併設された訪問看護
ステーションから指定訪問看護を受けることを入居者に求め、当該訪問看
護ステーションが入居者の個別の状況や必要性を踏まえずに指定訪問看
護を行うことは、健康保険法上、認められるのか。
(答) 高齢者向け住まい等の集合住宅の入居要件として、特定の訪問看護ステー
ションの指定訪問看護を受けることを入居者に求め、訪問看護ステーショ
ンが入居者の個別の状況や必要性を踏まえずに指定訪問看護を行うことに
ついては、「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」の第 14 条に
おいて「指定訪問看護は、利用者の心身の特性を踏まえて、利用者の療養上
妥当適切に行い、日常生活の充実に資するようにするとともに、漫然かつ画
一的なものとならないよう、療養上の目標を設定し、計画的に行われなけれ
ばならない」とされていること、訪問看護ステーションは利用者が自由に選
択できるものである必要があること等から、あってはならないものである。