D006-4 遺伝学的検査

 1 処理が容易なもの 3,880点

 2 処理が複雑なもの 5,000点

 3 処理が極めて複雑なもの 8,000点

 注 別に厚生労働大臣が定める疾患の患者については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。

D006-4 遺伝学的検査

 (1) 遺伝学的検査は以下の遺伝子疾患が疑われる場合に行うものとし、原則として患者1人につき1回算定できる。ただし、2回以上実施する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

  ア PCR法、DNAシーケンス法、FISH法又はサザンブロット法による場合に算定できるもの

   ① デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー及び家族性アミロイドーシス

   ② 福山型先天性筋ジストロフィー及び脊髄性筋萎縮症

   ③ 栄養障害型表皮水疱症及び先天性QT延長症候群

  イ PCR法による場合に算定できるもの

   ① 球脊髄性筋萎縮症

   ② ハンチントン病、網膜芽細胞腫及び甲状腺髄様癌

  ウ ア、イ及びエ以外のもの

   ① 筋強直性ジストロフィー及び先天性難聴

   ② フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症、シトルリン血症(1型)、アルギノコハク酸血症、イソ吉草酸血症、HMG血症、複合カルボキシラーゼ欠損症、グルタル酸血症1型、MCAD欠損症、VLCAD欠損症、CPT1欠損症、隆起性皮膚線維肉腫及び先天性銅代謝異常症

   ③ メープルシロップ尿症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、メチルクロトニルグリシン尿症、MTP(LCHAD)欠損症、色素性乾皮症、ロイスディーツ症候群及び家族性大動脈瘤・解離

  エ 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において検査が行われる場合に算定できるもの

   ① ライソゾーム病(ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型、ゴーシェ病、ファブリ病及びポンペ病を含む。)及び脆弱X症候群

   ② プリオン病、クリオピリン関連周期熱症候群、神経フェリチン症、先天性大脳白質形成不全症(中枢神経白質形成異常症を含む。)、環状 20 番染色体症候群、PCDH 1 9 関連症候群、低ホスファターゼ症、ウィリアムズ症候群、アペール症候群、ロスムンド・トムソン症候群、プラダー・ウィリ症候群、1p36 欠失症候群、4p欠失症候群、5p欠失症候群、第 14 番染色体父親性ダイソミー症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マギニス症候群、22q11.2 欠失症候群、エマヌエル症候群、脆弱X症候群関連疾患、ウォルフラム症候群、高IgD症候群、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群及び先天異常症候群

   ③ 神経有棘赤血球症、先天性筋無力症候群、原発性免疫不全症候群、ペリー症候群、クルーゾン症候群、ファイファー症候群、アントレー・ビクスラー症候群、タンジール病、先天性赤血球形成異常性貧血、若年発症型両側性感音難聴、尿素サイクル異常症、マルファン症候群、エーラスダンロス症候群(血管型)、遺伝性自己炎症疾患及びエプスタイン症候群

 (2) (1)のアに掲げる遺伝子疾患の検査は、PCR法、DNAシーケンス法、FISH法又はサザンブロット法による。(1)のイに掲げる遺伝子疾患の検査は、PCR法による。

 (3) 検査の実施に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成 23 年2月)を遵守すること。

 (4) (1)のエに掲げる遺伝子疾患に対する検査については、(3)に掲げるガイダンス及びガイドラインに加え、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。

 (5) 「1」の「処理が容易なもの」とは、(1)のアからエまでの①に掲げる遺伝子疾患の検査のことをいう。

 (6) 「2」の「処理が複雑なもの」とは、(1)のアからエまでの②に掲げる遺伝子疾患の検査のことをいう。

 (7) 「3」の「処理が極めて複雑なもの」とは、(1)のア、ウ及びエの③に掲げる遺伝子疾患の検査のことをいう。

 (8) 非小細胞肺癌の腫瘍細胞を検体とし、シークエンサーシステムを用いて、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的としてBRAF遺伝子検査を実施する場合にあっては、患者1人につき1回に限り算定する。この場合、遺伝学的検査「2」処理が複雑なものを準用して算定することとし、注の規定及び(1)~(7)の規定は適用しない。

 (9) 固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とし、シークエンサーシステムを用いて、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として 融合遺伝子検査を実施する NTRK場合にあっては、患者1人につき1回に限り算定する。この場合、遺伝学的検査「2」処理が複雑なものの所定点数を準用して算定することとし、注の規定及び(1)~(7)の規定は適用しない。

 (10) シークエンサーシステムを用いて、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として特定の遺伝子の変異の評価を行う際に、包括的なゲノムプロファイルを併せて取得している場合には、包括的なゲノムプロファイルの結果ではなく、目的とする遺伝子変異の結果についてのみ患者に提供すること。また、その場合においては、目的以外の遺伝子の変異にかかる検査結果については患者の治療方針の決定等には用いないこと。

 (11) 固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とし、100以上のがん関連遺伝子の変異等を検出するがんゲノムプロファイリング検査に用いる医療機器等として薬事承認又は認証を得ているシークエンサーシステムを用いて、包括的なゲノムプロファイルの取得を行う場合は、本区分の「3」処理が極めて複雑なものの所定点数を準用して、患者1人につき1回に限り算定できる。本検査は、標準治療がない固形がん患者又は局所進行 ア若しくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む。)であって、関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、全身状態及び臓器機能等から、本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した者に対して実施する場合に限り算定できる。

  イ 本検査は、「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について」(平成29年12月25日健発1225第3号)に基づき、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療連携病院 として指定を受け 及びそれに準ずる医療機関ている保険医療機関で実施すること。当該医療機関は、がんゲノムプロファイルの解析によ ウFASTQ り得られた遺伝子のシークエンスデータ()、解析データ( )及び 又はBAM VCF又はXML臨床情報等を、患者の同意に基づき、医療機関又は検査会社等からがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に提出すること。この際、患者に対して書面を用いて説明し、同意の有無について診療録及び(キ)に規定する管理簿等に記載すること。また、当該データの二次利用に関しても同様に説明及び管理簿等の記載を行うこと。なお、これらの手続に当たっては、個人情報の保護に係る諸法令を遵守すること。エ C-CATへのデータ提出又はデータの二次利用に係る同意が得られない場合であっても、本検査を実施し、算定することは可能であるが、同意が得られなかった旨を診療録及び管理簿等に記載すること。オ 関連団体が定める「インフォームド・コンセント手順書」を遵守し、患者からの同意取得について適切な手続を確保すること。カ 臨床情報等の提出に当たっては、関連団体が定める「がんゲノム情報レポジトリー 臨床情報収集項目一覧表」に則って提出すること。キ 当該医療機関は、次に掲げる事項を記載した管理簿等を作成し、本検査を実施した全ての患者について管理簿等により管理すること。・検査を実施した者の氏名、ID・検体を衛生検査所等に発送した年月日・衛生検査所等からの解析結果の受け取りの有無、及び受け取った年月日・がんゲノム医療中核拠点病院等でエキスパートパネルが実施された年月日・エキスパートパネルから検査結果を受け取った年月日・検査結果を患者に説明した年月日・検査結果を説明した後、C-CAT等からの情報に基づいた、臨床試験又は治験等の新たな治療方針の説明の有無、及び説明した年月日・データ提出及びデータの二次利用に係る患者の同意の有無・C-CATに対してシークエンスデータ、解析データ及び臨床情報等を提出した年月日等ク 当該医療機関は、患者からの求めに応じて、当該患者のシークエンスデータ(FASTQ又はBAM)及び解析データ(VCF又はXML)等を患者に提供できる体制を整備すること。ケ 本検査の実施に当たっては、シークエンサーシステムを用いた検査の品質・精度の確保のために必要な措置を講ずることとし、シークエンサーシステムを用いた検査に係る適切な第三者認定を受けた保険医療機関で実施すること。なお、本検査を衛生検査所に委託する場合は、同様の第三者認定を受けた衛生検査所にのみ委託すること。コ 抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、特定の遺伝子の変異の評価を行った際に併せて取得している包括的なゲノムプロファイルの結果を標準治療の終了後に治療方針の決定の補助に用いる場合には、当該点数は算定できない。サ 本検査の実施に際し、「D006-4」遺伝学的検査の点数を準用して算定する場合は、「注」に定める施設基準の規定は適用しない。

 (12) 包括的なゲノムプロファイルの結果について、当該検査結果を医学的に解釈するための多職種(がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する医師、遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師、遺伝カウンセリング技術を有する者等)による検討会(エキスパートパネル)での検討を経た上で患者に提供し、治療方針等について文書を用いて患者に説明する場合には、本区分の「3」処理が極めて複雑なものの所定点数4回分、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「注」の「ロ」3項目以上及び区分番号「M001-4」粒子線治療(一連につき)の「注3」粒子線治療医学管理加算の所定点数を合算したものを準用して、患者1人につき1回に限り算定できる。なお、患者への説明内容について、診療録に記載すること。

  ア エキスパートパネルの実施に係る費用は準用した点数に含まれる。なお、エキスパートパネルの実施に際しては、以下の点を遵守すること。

   ① エキスパートパネルは、「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について」(平成29年12月25日健発1225第3号)に基づき、がんゲノム医療中核拠点病院及びそれに準ずる医療機関として指定を受けている保険医療機関で実施すること。

   ② エキスパートパネルの構成員については、以下の要件を満たしていること。

    (イ) 構成員の中に、がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する診療領域の異なる常勤の医師が、複数名含まれていること。

    (ロ) 構成員の中に、遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師が、1名以上含まれていること。

    (ハ) 構成員の中に、遺伝医学に関する専門的な遺伝カウンセリング技術を有する者が、1名以上含まれていること。

    (ニ) 構成員の中に、病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師が、複数名含まれていること。

    (ホ) 構成員の中に、分子遺伝学及びがんゲノム医療に関する十分な知識を有する専門家が、1名以上含まれていること。

    (へ) 構成員の中に、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析等に必要なバイオインフォマティクスに関する十分な知識を有する専門家が、1名以上含まれていること。

    (ト) エキスパートパネルにおいて検討を行う対象患者の主治医又は当該主治医に代わる医師は、エキスパートパネルに参加すること。

   ③ エキスパートパネルの構成員については、②の(イ)から(ト) 1名以上 に該当する者がいずれも出席すること。ただし、やむを得ない場合は、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器を用いて参加することで出席とみなすことができる。

   ④ C-CATへのデータの提出の同意を得た患者について検討する際には、C-CATが作成した当該患者に係る調査結果を用いてエキスパートパネルを実施すること。

  イ 抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、特定の遺伝子の変異の評価を行った際に併せて取得している包括的なゲノムプロファイルの結果を標準治療の終了後にエキスパートパネルでの検討を経た上で患者に提供し、治療方針等について文書を用いて患者に説明する場合にも算定できる。なお、この場合には(9)のアからケまでを満たすこと。

  ウ 当該説明に際し、「D006-4」遺伝学的検査の点数を準用して算定する場合は「注」に定める施設基準の規定は適用しない。

  エ 当該説明に際し、「M001-4」粒子線治療(一連につき)の「注3」粒子線治療医学管理加算を準用して算定する場合は当該区分の「注3」に定める施設基準の規定は適用しない。